各家庭にもパソコンやプリンターが普及したことによって印刷業界には大きなダメージがありました。以前は業者に依頼しなければならなかった書類や写真等の印刷が家庭でもできるようになってしまったからです。それに呼応するように用紙も多様なものが販売されるようになり、文字やイラストだけでなく、写真を美しくプリントアウトすることも家庭でできるようになってしまったのです。ソフトウェアの開発と用紙の開発が相まって行われることによって名刺やシールなども容易に作ることができるようになったため、印刷業界ではそれでもなお必要とされるためのサービスを展開しなければならない状況に立たされてきました。

大型ポスターのように家庭用プリンターでは扱うことのできないものを取り扱うようにするというアプローチがある一方で、家庭でも作れるものに付加価値をつけることによって業者に依頼するメリットを生み出させようとしているアプローチが主流になってきています。写真の場合にはファイルをそのまま印刷するのではなく、適切な画像処理を施すオプションサービスが充実するようになりました。名刺においてはテンプレートを提供することによって、名前や所属等の情報を提供してテンプレートを選ぶだけで手元に名刺が届くというサービスも一般的に行われるようになっています。こういった形でただ印刷を行えば良いという事業ではもはや生きていけなくなり、付加価値を与えることが不可欠になっているのです。