今日の私たちは、印刷技術の進歩により多くの恩恵を得ています。とりわけ、新聞や雑誌などの出版物を通して、役に立つ様々な情報に接することができます。こうした出版技術の始まりは、1455年ごろにヨーロッパで発明された活版印刷機にあると一般に考えられています。この時、グーテンベルクという名のドイツ人が、金属製の活字を用いた大量印刷の技術を完成させたからです。
しかし、そののち数世紀をかけて、出版技術は一層の進歩をとげていきます。例えば、1860年代に入ると、輪転機が開発されます。それまでの出版作業は、一枚一枚の紙の上に文字を印刷していく方式でした。しかし、この輪転機では巻き取り式の連続した長い紙が使用され、これにより効率的な出版が可能になりました。
その後、しばらくするとライノタイプという機械が考案されます。これが画期的であったのは活字の組み方にありました。これまでは、一文字一文字の活字を拾い出して、単語や文章を作り上げていきました。しかし、このライノタイプでは行単位で活字を組むことが可能となり、印刷がさらに効率的に行えるようになったのです。
そして20世紀の後半になるとコンピュータが活用されるようになります。活字を組む作業は電子化され、人の手でいちいち活字を拾い出さなくても植字ができるようになりました。現在では輪転機の回転速度もますます高速になっており、輸送網の整備とも相まって、出版物が以前よりもスピーディーに人々の手に渡るようになっています。